杉下右京
人物解説[]
- 警視庁特命係・係長。階級は警部補→警部[1]。生年月日は不明だが、S.1開始時点で45歳[2]。
- 東京大学法学部を卒業後に渡英。帰国後、国家公務員採用I種試験に合格、キャリアとして警察庁に入庁。警視庁刑事部捜査二課に出向して次々に事件を解決していたが、余りにも切れ過ぎる頭脳と、何を考えているのかわかりづらい言動から「変人」扱いされ、窓際部署の特命係に追いやられてしまう。また、右京の下につく者はことごとく警視庁を去る[3]事から、「人材の墓場」と揶揄される。S.1終了時に一旦警察庁に戻り、警視庁警察学校の教官に異動[4]を命じられるが拒否し、休職してロンドンへ渡る[5]。S.2で特命係復活に伴い復帰し、S.3では免職されかかったが、これも免れている。
- 薫から「ただでさえ私生活を明かさない人」と言われている(S.4-16)ようにプライベートが映ることはないが、薫の婚姻届にはたまき共々同意人として署名している(S.4-12)。
- 性格は、時に冷淡に思える程、極めて冷静で理論的。薫に突然呼び出されて、いきなり手錠を繋がれても、泰然として状況説明を薫に求めたり(S.2-12)、死体を発見しても驚く様子も無く話す(S.1-最終話)など、精神的にも非常に強靱な物を持っている。以上のように普段は物静かで沈着冷静だが、たまきに図星を突かれ傍目に見て分かるほど動揺する事もあるほか、怒りが頂点に達すると声のトーンが変わり、顔を震わせて激昂する激情家の一面も持つ。
- 口調は誰に対しても敬語を使って丁寧に接するが、その一方で相手に対して思った事を明確に口にする場合もある。また、観察力、洞察力、記憶力が異常なほどに優れており、それらを基にした分析能力や推理力も非常に高く、時として誰もが疑問に思わないような些細な事を足掛かりにして捜査を開始する。あくまで事件の真実を明らかにすることにこだわっており、事件を解決した手柄には興味を全く示さない。
- 個人として非常に有能な反面、組織の利害に関係なく一片の妥協も無しに容赦なく犯人を追い詰める姿勢から、上層部から圧力がかかることもしばしばある。また、許可なしに他人の住居に侵入したり、違法な捜査令状をごり押しするなど、事件解決のためなら違法行為をも厭わない行動をとる事もある[6]。
- 服装は三つボタンのシングルスーツ、またはスリーピース・スーツで、ベルトは使わずにボタン留のサスペンダーを愛用している。冬場に着るコートもテーラードカラーのコートである。
- かなりの紅茶通[7]であり、いつも丁寧に作っては飲んでおり、「夜飲まないと眠れない」とのこと。カップに紅茶を注ぐ時に、ポットをかなり高い位置に引き上げてまた戻すという、独特な注ぎ方をする[8]。食べ物では、好きなものは牛のほほ肉(S.9-11)、苦手なものは梅干し[9]と酢豚のパイナップル[10]等(S.4-12)。
- 総じて手先が器用で、リンゴの皮むきが早く綺麗にできる(S.4-18)ほか、携帯電話のメールを打つのが極度に速く(S.4-19)、ピアノまで弾きこなす(S.3-15)。運動能力も高く、練習をしていないにもかかわらず剣道の腕もかなりのもの(S.5-7)で、護身術にも長けている。ただ、車の運転は必要に迫られた場合に運転するのみ(劇場版I)で、大抵は薫や尊に運転を任せている。また、たまきと共に薫のマンションに向かった際も彼女に運転を任せていた(S.6-17)[11]。拳銃は携帯せず、警察官の義務である射撃訓練すらしないほど嫌っている(S.2-4)。PS.では喫煙するシーンも見られたがS.1以降は吸わなくなった。
- 様々な分野に造詣が深く、円周率の暗記(S.2-12)やワイン(S.5-9)に関する知識があるほか、複数の外国語を理解しているが、大学では仏文学の単位を落とした(S.7-15)[12]が、右京本人は「大学時代はしばしば女の子とデートをしていた」と述べている(S.2-12)。また、手話を使って聾者と話す事もできるほか(S.5-11)、方言で話した人間の出身地を見抜いたこともある(S.6-10)。マジックに関する知識もあり、トランプの裏を見て表の数字とマークを当てる手品を披露している(S.8-13)。
- 趣味は紅茶、チェス、落語、クラシックレコード鑑賞など。特に落語は同じ趣味をもつ米沢とテープの貸し借りをしたり、話が盛り上がることもしばしばである。また、中学時代に推理小説を書いていたことがあり、その作品が大学の推理小説サークルの同人誌に掲載されたことがある(S.4-8)。 また、幽霊や超能力にも興味があるようだが「幽霊を見る能力が欠如している」らしく、薫が「裸の女の幽霊」を目撃したという話に「いささか嫉妬を覚える」と残念がっていた(S.3-最終話)り、鑑識課員の米沢に「お化けと超能力は信じます」と言ったことがある。
- 口癖は、「はい?」「おやおや」「そろそろ、行きますか」「ご随意にどうぞ」「違いますか?」「妙ですねぇ」など。
- 細かいところまで気になってしまうのが自他共に認める「悪い癖」であり、一度帰ると見せかけて、去り際に「もう一つだけ」と言って粘る場面が頻繁にある。また、重大な問題点や証拠、手がかりなどの見落としや思い違いなど[13]に気付いた時は半ば動揺した状態で「僕とした事が!」「迂闊でした!」と話す。
脚注[]
- ↑ PS.までは警部補の設定であった。ただし、PS.1で伊丹が「警部殿」と呼ぶ場面がある。なお、警察庁キャリアは採用時に警部補、その後の研修等の終了時点でほぼ自動的に警部に昇進する。このことを前提にすると右京は実質的に「昇進無し」という特異なケースとなるが、右京自身は出世には興味が無く、上司から「出世に興味はないか」と聞かれ、それは「無駄な労力」と語ったことがある(PS.1)。
- ↑ 相棒Season1 「キャスト」より。
- ↑ 特命係の設置以来、薫の前に部下が6人就いたが、最短は1日、最長でも1週間もたず、皆別れも言わず去って行った(S.7-9)。
- ↑ この人事は、本来なら出世が約束される花形コースである。
- ↑ 右京はたびたびロンドンに行っており、劇場版Iの地上波初登場の時にもロンドンを訪れ、S.8-1で帰国した。他にも、20代後半の3年間、ロンドン警視庁で研修をしていた事もある(S.1-7)。
- ↑ そのような行動を、上司の小野田は「杉下の正義は時に暴走する」と形容している(S.6-最終話)。
- ↑ 水谷自身は元々コーヒー党だったが、本作がきっかけで紅茶好きになったという。
- ↑ 当初は普通に注いでいたが、回を重ねるごとに段々高くなっていった。高い位置から注ぐ為に熱い飛沫が自分の手に飛び散ってしまうが、水谷本人は熱いのを我慢してまでやっている。なぜこのような注ぎ方をするようになったのかの理由については、水谷本人が「本能が刺激されてどれだけ高くまでいけるかやってみたくなった」(2008年4月30日放送の『スーパーJチャンネル』)と答えている。
- ↑ 理由は酸っぱい物がダメなため(S.3-9)だが、S.1-7では梅干入りのカクテルは飲んでいる。
- ↑ 本人曰く「存在理由がわからない」(オフィシャルブック)。
- ↑ ただ、スピンターンを行うなどの華麗なドライビングを披露した(S.3-9)ように、運転が苦手というわけではない。また、薫が異動や辞職で不在になった際には自分で車を運転している(S.3-2、S.7-10,15等)。
- ↑ その講義の担当教官に「あなたと恋愛は相性が悪い」(フランス文学には恋愛がらみの内容が多いため)と言われている。
- ↑ 右京自身の意図を相手に悟られないようにするためにそういう言動を取る場合もある。